遅発性ウイルス(ちはつせい-、遅発ウイルス、スローウイルスとも)は、潜伏期間が極めて長い
感染症の病原
ウイルスである。 ヒトでは
亜急性硬化性全脳炎を起こす
変異型麻疹ウイルス、
進行性多巣性白質脳症を起こすJCウイルスが知られる。ウマでは、ウマ伝染性貧血症(equine infectious anemia)ウイルス、ヒツジではvisna virusビスナウイルス、maediウイルスが知られる。 遅発性ウイルスによる
感染症を遅発性ウイルス感染症という。 遅発性ウイルス感染症のうち
亜急性硬化性全脳炎と
進行性多巣性白質脳症では、長い潜伏期のメカニズムはことなる。また、長い経過で病状が変わる慢性肝炎ウイルスは、遅発性ウイルスには含めない。定義には曖昧な部分がある。 医学系の文献では、潜伏期間の極めて長い
神経疾患の原因
ウイルスにかぎって定義する傾向があり、
ウイルス学では長い潜伏期間で動物に
神経疾患とその他の重症な病気をおこす
ウイルスとして、より広く定義をする傾向がある。
歴史的には、
伝達性海綿状脳症の原因として提唱された概念であった。しかし、
伝達性海綿状脳症が
プリオン病として独立したため、本来の
ウイルスだけが残った。この歴史的背景が遅発性ウイルスという概念に残っているため、定義が曖昧なのかもしれない。また、関連疾患の理解で誤解を招きやすい事態になっている。