『
自由海論』または『
海洋自由論』(
ラテン語:
Mare Liberum)とは、
フーゴー・グロティウスによってラテン語で書かれ1609年に初版が刊行された
本である。正確な題名は『自由海論、インド貿易に関してオランダに帰属する権利について』(
Mare Liberum, sive de jure quod Batavis competit ad Indicana commercia dissertatio)という。『
戦争と平和の法』(ラテン語:
De jure belli ac pacis)と並び「国際法の父」といわれるグロティウスが著わした代表的な法学書のひとつである。母国
オランダの立場を擁護する観点から
海洋の自由を論じ、それを論拠としてすべての人が
東インドとの通商に参加する権利を有するとして、
オランダは東インドとの通商を継続すべきであることを主張した。『捕獲法論』(ラテン語:
De jure praedae)がグロティウスの死後の1864年に発見されたことにより、この『自由海論』は『捕獲法論』の第12章として書かれたものに修正を加えたものであったことが明らかになった。『自由海論』は学術的論争の発端となり、その後の近代的な
海洋法秩序形成を促すこととなった。現代の
公海に関する制度にはこの『自由海論』で論じられた理論に起源をもつものもある。