サルモネラ (
Salmonella) とは、
グラム陰性通性嫌気性桿菌の
腸内細菌科の一属(
サルモネラ属)に属する
細菌のこと。主にヒトや動物の
消化管に生息する
腸内細菌の一種であり、その一部はヒトや動物に
感染して病原性を示す。ヒトに対して病原性を持つサルモネラ属の細菌は、三類感染症に指定されている
腸チフスやパラチフスを起こすもの(
チフス菌 S. Typhiと
パラチフス菌 S. Paratyphi A)と、感染型
食中毒を起こすもの(食中毒性サルモネラ:ネズミチフス菌
S. Typhimuriumや腸炎菌
S. Enteritidisなど)とに大別される。食品衛生の分野では、後者にあたる食中毒の原因となるサルモネラを特に
サルモネラ属菌と呼ぶが、一般には、これらを指して狭義に
サルモネラあるいは
サルモネラ菌と呼ぶこともある。細胞内寄生性細菌であり、チフス菌やパラチフス菌は主に
マクロファージに感染して菌血症を、それ以外の食中毒性サルモネラは腸管上皮細胞に感染して胃腸炎を起こす性質を持ち、この細胞内感染がサルモネラの病原性に関与している。