ゴシック様式(ゴシックようしき Gothic Style)とは美術史や美術評論において、
西ヨーロッパの
12世紀後半から
15世紀にかけての建築や美術一般を示す用語。最初は建築のみに使用された用語だが、次第に
ゴシック建築が建造された時代の装飾、彫刻、絵画などへとその適応範囲が広がった。この時代の様式(厳密にいえば、建築様式)を初めに「ゴシック」と呼んだのは、15世紀~
16世紀の
ルネサンス期イタリアの
人文主義者たちである。彼らはこの様式を、混乱や無秩序が支配する野蛮な様式だとして侮蔑の意味を込めて、「
ドイツ様式(la maniera tedescha)」または「
ゴート族の様式」つまり「ゴシック様式(la maniera gotico)」だと言い表した。当時は既にゴート族と称される集団は存在しなかったが、「ゴート族」という言葉はしばしば
ゲルマン人全体を指して用いられ、
アルプス以北の
ドイツ語を話す人々(Tedeschi)のことを指し示して使われたからである。そして「ゴート族」と言った場合には、
ローマ帝国と古典芸術を破壊した蛮族という批判的な見方が含まれていた。