『
アルマゲスト』()は、
ローマ帝国時代にエジプト・
アレクサンドリアの天文学者
クラウディオス・プトレマイオスによって書かれた、
天文学(実質的には
幾何学)の専門書である。プトレマイオス自身の手による原典は失われているが、ギリシア語写本の題名として ( (『数学体系』)、あるいは ((『天文学大系』)といった題名が見られる。これが後に
アラビア語に翻訳された際に
Kitab al-Mijisti と呼ばれた。なお、アラビア語に "mijisti"(あるいは "majisti")といった語彙は存在せず、ギリシア語の "μαγιστη"(「大きい」を意味する
形容詞 "μεγας" の最上級)を音訳したものであると考えられている。これがさらに
ラテン語に翻訳されて あるいは と音訳された。 はその現代語形(英語・ドイツ語)の名前に変わった。
『アルマゲスト』に書かれていた
天動説は
惑星の運動を説明するモデルとして1000年以上にわたってアラブ及びヨーロッパ世界に受け入れられた。『アルマゲスト』は現代の我々にとって、
古代ギリシアの天文学について知る上での最も重要な
情報源となっている。また『アルマゲスト』は、原本が失われた古代ギリシアの数学者
ヒッパルコスの文献についての引用を多く含むため、数学を学ぶ者にとっても価値のある本とされてきた。ヒッパルコスは
三角法についての本を著したが、彼の原書は失われているため、数学者達はヒッパルコスの研究成果や古代ギリシアの三角法一般についての情報源として『アルマゲスト』を参考にしている。